神々の系譜の紹介

神々の系譜

神々の系譜の紹介

伊邪那岐神 (イザナギノカミ)
伊邪那岐神(いざなぎのかみ)は、伊邪那美神(いざなみのかみ)と夫婦神であり、天津神の命令で「このただよへる国をつくり固めなせ」ということで高天原より天下り、日本の国土を国生みした。国を生み終えた二神は35神の神々を生んだが、最後の火神を生むことにより、母神伊邪那美神は火傷を負い、死んでしまう。伊邪那岐神は妻神を亡くした事をいたく悲しみ、黄泉国に赴き、帰ってくれるように願う。伊邪那美神は黄泉神と相談する間、決して私を見ないことを約束させるが、伊邪那岐神は待ちきれなくなり見てしまう。妻神は恥をかかせたと伊邪那岐神を恐ろしい神々に追いかけさせ、最後は自分自身で追いかける。とうとう黄泉国の境である黄泉比良坂まで追いかけ、ここに大きな岩石を置いて交通を遮断し、夫神に離別の言葉を述べ、「あなたの住む国の人々を1日に1000人も絞め殺しましょう」といった。夫神は「私は、1日に1500もの産屋を建てよう」を返答した。これにより人々の生死を司ることになったという。黄泉国から帰った伊邪那岐神は穢れた心身を清めた、その時、左目をすすいだときに天照大御神、右目をすすいだときに月読命、鼻をすすいだときに須佐之男命の3神が生まれた。
天照大御神 (アマテラスオオミカミ)
天照大御神(あまてらすおおみかみ)。伊邪那岐神(いざなぎのかみ)より生まれた女神。伊邪那岐神より高天原の統治を託された皇室の祖神。弟である須佐之男命と誓約(うけい)を行って、3女神5男神を生み合う。須佐之男神はうけいに勝ったと天照大御神の田や畦、溝を埋め乱行を働く。怒った天照大御神は天岩屋(あめのいわや)に籠もり、高天原と葦原中つ国は暗闇となり混乱に陥った。そこで神々が協力し丁重に祭祀を行ったところ、それに応えて天岩屋から出て、国は明るくなり秩序が回復した。その後、御子の天之忍穂耳命を降臨させるべく葦原中つ国の平定を命じ、天孫邇邇芸命に豊葦原・水穂国の統治を委ねる。伊勢神宮の内宮の祭神。
邇邇芸命 (ニニギノミコト)
邇邇芸命(ににぎのみこと)。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫神で、木之花開耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)と結ばれ、山彦(火遠理命)を生む。神武天皇は曾孫になる。国譲りの神話後、天之忍穂耳命(あまのおしほみのみこと)が降臨できるようになった際、代わりに天降った神。その際、三種の神器でる「八尺の勾玉(やさかのまがたま)」「八尺の鏡」「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」を持ち、高千穂の山に天降った。
木之花開耶姫命 (コノハナサクヤヒメノミコト)
木之花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。日本随一の霊峰、富士山の神。その神を奉るのが、浅間神社である。大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘神で、邇邇芸命(ににぎのみこと)と結婚し、山彦(火遠理命)を生む。神武天皇は曾孫にあたる。また、山中諏訪神社の祭神、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)の姑にあたる。邇邇芸命と一夜の契りを結び、身籠もったが、邇邇芸命は一夜で身籠もったのはおかしい、国津神の子ではないかと疑う。木之花開耶姫命は「もし国津神の子であったら無事に生まれることはないだろう」と云い、出入口のない産屋に籠もり、中から火を放ち、その中で無事、火照命(海彦)、火須勢理命、火遠理命(山彦)を出産し、邇邇芸命の子であった事を証明した。この火中出産の神話から浅間神社も安産の信仰を集めている。山中諏訪神社から橋を渡った隣にあるのが、山中の浅間神社である。この他、富士吉田に北宮浅間神社等がある。
火遠理命・火照命 (ホオリノミコト・ホドリノミコト)
火遠理命(ほおりのみこと)、火照命(ほどりのみこと)。山彦、海彦の神話の神。邇邇芸命(ににぎのみこと)と木之花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)との間に生まれた神。山彦は神武天皇の祖父神にあたる。神話では兄の海彦は漁をして暮らし、弟の山彦は狩猟をして暮らしていたが、ある日、山彦は海彦と互いの道具を交換する事を海彦に提案する。海彦はしぶるが、説得し、道具を交換した。山彦は海彦の釣り針を持って海に出かけたが、魚は釣れず、大事な釣り針を海中に落としてしまった。山彦は自分の剣からたくさんの釣り針を作り、謝ったが海彦は許してくれず、落とした釣り針でなければとだめだ、と云った。山彦は途方にくれ、海辺に佇んでいる処に、塩椎神(しおつちのかみ)が現れて、大綿津見神(おおわたつみのかみ)の宮に行く事を勧めた。山彦は大綿津見神の宮に行き、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)と出会い結ばれた。3年間、宮に留まっていたが、海彦の釣り針のことを思い出して、大綿津見神に相談すると、大綿津見神は魚を集めて釣り針を探させた。すると鯛ののどから釣り針が発見され、山彦にそれを渡す。大綿津見神は、海彦にその釣り針を返す時、海彦が恨んで攻めてきたら、「しおつみたま」を使って溺れさせ、謝ったなら「しおひるたま」で水を退かせて助けるように云って、山彦に2つの珠を持たせ、地上に帰した。山彦は云われた通りに海彦を苦しめて、海彦が守護人として仕えることを誓わせる。海彦の子孫は隼人を云われている。その後、豊玉姫命が山彦を訪れ、出産をする。その際、豊玉姫命が産屋が葺き終わらないうちに産気づき、山彦に産屋を覗いてはならぬと云い、出産をする。山彦はそのいいつけを守らずに、覗くと、豊玉姫命が八尋(やひろ)もある鰐(サメ)になっているのを見てしまう。豊玉姫命は恥をかかせたと怒り、無事出産するも、陸と海の境をふさいで国に帰ってしまう。その時生まれたのが、鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)、神武天皇の父神である。
豊玉姫命 (トヨタマヒメノミコト)
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)。山中諏訪神社の祭神。大綿津見神(おおわたつみのかみ)の娘神。神武天皇の祖母神。浅間神社の祭神、木之花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の嫁神。火遠理命(ほおりのみこと)こと山彦の妻神。山彦は大綿津見神の宮に行き、豊玉姫命と出会い結ばれた。3年間、宮に留まった後、地上に帰る。その後、豊玉姫命が山彦を訪れ、出産をする。その際、豊玉姫命が産屋が葺き終わらないうちに産気づき、山彦に産屋を覗いてはならぬと云い、出産をする。山彦はそのいいつけを守らずに、覗くと、豊玉姫命が八尋もある鰐(ワニ)になっているのを見てしまう。豊玉姫は恥をかかせたと怒り、無事出産するも、陸と海の境をふさいで国に帰ってしまう。その時生まれたのが、鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)、神武天皇の父神である。その出産神話により安産の神をして奉じられており、また、海の神としても奉じられている。
鵜葺草葺不合命 (ウガヤフキアエズノミコト)
鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)。神武天皇の父神。火遠理命(ほおりのみこと)こと山彦と大綿津見神(おおわたつみのかみ)の娘神、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)との間の御子。豊玉姫命は山中諏訪神社の祭神。豊玉姫命が鵜の羽を葺草(かや)にして浜辺に産屋を作ろうとしていたが、屋根を葺き終わらないうちに誕生した御子であることから、その名がついた。豊玉姫命の妹神、玉依姫命(たまよりひめのみこと)と結ばれ、4神を生む。その1人の御子が神武天皇である。
神武天皇 (ジンムテンノウ)
神武天皇(じんむてんのう)。皇室の祖、初代の天皇。鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)と玉依姫命(たまよりひめのみこと)の間に生まれた御子。「日向三代」と云われる高千穂に降臨した邇邇芸命(ににぎのみこと)から始まった3代後、神武天皇は日向国から大和に進出する。その過程が神武東征の物語となる。日向を出発した神武天皇軍は、艱難辛苦の末、大和に進軍し敵陣を突破し、天香山(あまのかぐやま)の土を採って祭器「かわらけ」を焼き、祭事を営み、大和を平定する。その後、橿原宮(かしのはらみや)にて初代天皇に即位する。伊須気余理姫(いすきよりひめ)を皇后として、3人の御子をつくる。古事記によると137歳で崩御したとされる。